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スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ ネタバレあり感想+考察(好きな点編)

登場人物も増え、様々な要素をこれでもかと盛り込んだ『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』。

鑑賞から時間が経って自分の中で少し整理がついてきたので、この映画の好きだった部分を中心に感想を書く。
長くなったので気に入らなかった点は次記事で……

まず初めに、この作品を見た時の印象は「好きか嫌いかで言ったら好き寄りだし、カッコいいシーンがたくさん見られて嬉しいが、失笑してしまったシーンや話の流れの意味がわからないシーンもあり、手放しにすごい映画とは言えないな」という感じ。
面白いけどモヤモヤする点はあった。

なお、このレビューは本作鑑賞を前提としたバリバリネタバレありのものなので注意。









※※※ネタバレ注意※※※
















スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ』個人的に良かったシーン


①オープニングの戦闘がカッコよかった
今作はポー・ダメロンのキャラ付けがわりと好きだ。なかでもドレッドノートをぶっ壊すために孤軍奮闘していたオープニングは本当にクール(その後降格されたけど)。
レジスタンスは追い詰められ危機的な状況の戦いだが、ポーの鮮やかな飛びっぷりは爽快で序盤からワクワクした。BB-8も健気に頑張っていて応援したくなった。
突っ走る天才パイロット、ちょっとだけep2あたりのアナキンが重なる。


②レイとカイロ・レンの共闘

どういうわけか二人はフォースを使ってテレパシー的通信を始めた(フォース・チャットとか言うらしい)。
演出はちょっとアホ臭かったけどレンとレイが互いの心の孤独を感じ取る話の流れは良かったと思う。
ところでこのシーンで頭の中で前前前世が流れ出したのは私だけじゃないとわかって安心した。みんな考えることは同じだな!

スノークの前に引き出されたレイ。所詮お前らはまな板の上の鯉といった調子でレイとレンを煽り倒すスノーク(この時はめちゃくちゃ強いじゃん!どうするの!と本気で思っていたよ…)はカイロ・レンにレイを始末せよと命じるが、レンはライトセーバーを遠隔操作してスノークを貫いた。

ここから始まったレイ&レンコンビvsエリート・プレトリアン・ガード戦とその後の一連の展開はクールだった。もうハラハラしながら見守っていた。
ライトセーバーの扱いも二人とも荒削りで力をちょっと持て余してる感が良い。
ここのシーンはキャラクターと背景ともにスタイリッシュでめちゃくちゃ厨二心刺激された。心の中学二年生が身悶えしていたよ。
あとはレンくんライトサイド帰還かと思いきや「手を貸してくれ、二人で銀河を支配しよう」オチであんたラスボスなの????ええ??大丈夫???と心配になった。
ここまで人を心配させる悪の親玉はロキちゃんぐらいではなかろうか。


③ルークの最後の戦い

迷いを振り切り次世代に希望を託す決心がついたルークさんは窮地に陥ったレジスタンスを救うため最後の戦いに出た。
壁の向こうから一人敵地へと歩んでいくリビングレジェンドっぷりには震えた。
マキシマムザ憎悪でキレたカイロ・レンに集中射撃を浴びせられるも何食わぬ顔で肩のホコリをパッパッと払うルーク……心の中学二年生が(略)
その後の一騎打ちで猛り狂うカイロ・レンをいなして余裕ある立ち回りで格の違いを見せつけるところも最高。
波乱の人生を経てルークが最後にたどり着いた境地が一挙手一投足に出ていて渋くてアツかった。
そしてまさかの「これは分身でした(霊体って言っていいのか?」オチ。これには映画館で20秒くらい目ん玉見開いていた。
宣伝の時点で「ヴィジュアルが白いルークと黒いルークがいる、もしかしてルーク闇落ちか?」なんて説やクローンルーク説(?!)も生まれていたけど黒ルークは分身だったんかい。
まあこの最後の一連の流れは素直にカッコ良かったと言える。
分身を飛ばした後あんまりあっさりフォースと一体になってしまったのは寂しかったが、綺麗な終わり方ではないだろうか。



これ言うと怒られてしまいそうだがヨーダというキャラがあまり好きではなかった。
だって偉そうな保守的意見ばかり言って結局アナキンは闇堕ちするわジェダイ・オーダーは崩れるわで最強のジェダイなのにこのおじいちゃん一体何やってんの?と不服に思っていた。
だがヨーダに対するイメージは本作で一転した。
彼が長い長い人生を捧げてきたジェダイという存在の象徴をいとも簡単に燃やしてみせる迷いと執着の無さに感服した。
ジェダイ・オーダーの興亡をその目で見てきた彼は、ライトサイドを継ぐ者としてのジェダイの尊さと、組織としての・師としての傲慢さゆえ若い者の闇に寄り添えず結果としてシスを生み出すことになってしまった歴史、両方を理解した上で過去のものとして葬ることを決めたのだろう。
貴重な書籍を燃やしたことに迷いを感じるルークに「本が何になる?読んだことがあるのか?読んでもつまらないだけじゃ」と諭してみせるヨーダに目頭が熱くなった。
あまり好きになれなかった新三部作のヨーダだが、このエピソード8を観た後ならプリクエルのヨーダに対する思いもまた違ったものになるかもしれない。


⑤等身大のキャラクターとしてのフィン
フィンが好きだ。
フォースの覚醒とローグ・ワンに共通してここ最近の傾向として見られるのが、選ばれし英雄による神話からごく普通の人々の連帯による戦いへという転換である。
フィンはそんなごく普通の人々の代表だ。フォース感応力もなく、また聖人でもない。大義よりも自分と身の回りの安全を重んじ、土壇場で逃げようとしてしまう場面もある。
エピソード7,8通じて優れている点はフィンのキャラクター描写だ。
こういうキャラクターはともすると「雑魚がでしゃばりおって」と反感を買うが、フィンは勇気と臆病さ、優しさと未熟さを併せ持った複雑かつリアリティのある性格の描写がなされており、鑑賞者が自然に感情移入することのできるキャラクターだと私は思っている。
8のフィンは7から少し成長している。
序盤のレイを危機的状況に巻き込まないために通信機とともに脱出しようとする行動は、レイと自分が助かれば後は何とでもなれという魂胆が透けて見えたが、そんな彼もラストでは仲間みんなを救うために自ら犠牲となってKAMIKAZEしようとする(妨害されたが)。
フィンというごく普通の人間のこの先を今後も楽しみにしたい。


⑥ポーグがかわいい
事前発表時はかわいい!と素直に歓迎する声とまたこんな女子供に媚びたキャラクター出しやがってディズニーこの野郎という怨嗟の声両方が見られたポーグ。
蓋を開けてみるとやっぱりかわいい。
かわいいし、物足りないと思うほど出番が少なかったのでシリアスシーンを寒いギャグで妨害することもなかった。
目障りにならない程度のかわいさ、丁度いい。あとまさかの丸焼きにされていてかわいそうだった。衝撃のスター・ウォーズである。
ぬいぐるみ買おうっと。
個人的には「BB-8 ミニクリップ」のアニメっぽい絵柄のポーググッズが欲しいところだ。


⑦惑星クレイトの戦いがカッコいい
観賞中、私の中のHonest Trailers がクレイトのことを「映像映えのためだけに作られた星」とdisって止まなかったが、実際カッコいいので仕方ない。
塩に覆われた白い地面が戦闘機の排出する空気の勢いで地表がむき出しになって赤く染まっていくシーン、素直にかっこいい。映像として本当に綺麗だと思う。


余談だけどHonest Trailers は今回出たクリーチャー達(ポーグや狐とか)にポケモンっぽい名前つけそうじゃないですか?ルークに乳絞られてたやつなんか絶対「クリーピーミルタンク」って呼ばれてると勝手に予想している。


R2-D2がレイアの「助けてオビワン・ケノービ」のホログラムを流すところ

ルーク「ずるいぞR2」
私「ほんとそれな(涙を流しながら)」



⑨エンドロールのキャリー・フィッシャー追悼クレジット

泣くよね。




以上が主に気に入った点だ。細かい取りこぼしはあるかもしれないが、2回目以降で拾っていこうと思う。
次回は気に入らなかったポイントについて書く。